チーズの歴史

チーズは最も古い“食品”

チーズは「人類が作った最も古い食品」と言われているのをご存じでしたか?チーズが初めてどのように作られたのかは、確かな記録が現存していないためわかりませんが、おそらく山羊や羊などを飼育し、その乳を利用することを発見した頃と考えられています。 それは、「命の水」とも言える貴重な乳が偶然、土器の中に入った、野生の人にやさしい微生物の働きによって、液体から白く美しい固まり(カード)と液体(ホエイ)に分離することを発見したときがチーズ発見の瞬間だったと言われています。

紀元前3500年頃のメソポタミアの神殿の石版画装飾や紀元前6000年代の湖上生活者の遺跡などに チーズづくりの痕跡が残っていることから、チーズ作りの歴史は数千年以上昔から始まっていたと想像されます。 古代モンゴル族は、紀元前3世紀頃にはあらゆる家畜の乳を利用した多種多様な乳文化を持っていたと言われています。モンゴルを代表する硬質チーズ「ホロート」は低脂肪・高たんぱくで栄養価が高く、しかも長期保存もできる優れもの。
モンゴル族の騎馬軍団が西アジアから東ヨーロッパを含む大モンゴル帝国を築き上げた背景には、このチーズが重要な役割を果たしたと考えられています。その他、チベットやネパールでもヤク、水牛、山羊の乳から古くからチーズ作りを行っていたようです。

チーズは神への捧げもの

西アジア周辺で生まれたチーズ文化は、トルコなどを経てギリシャに伝わっていったものと考えられています。山岳地帯が多いギリシャでは、山羊や羊の乳から作られるチーズが発達しました。それは、ギリシャの叙事詩『イリーアス』『オデュッセイア』の中にも山羊や羊のチーズは登場するのに、牛乳から作られたチーズの話はひとつも出てこないことからも伺えます。 その古代ギリシャでは、「神への供物」としてチーズを神殿に捧げており、チーズが重要なものであったことがわかりますね。

日本のチーズの歴史

日本にほど近い西アジアで早くからチーズ文化が発祥していたこともあり、日本のチーズの歴史は意外なことにずいぶんと古くまでさかのぼることができます。モンゴルのチーズ「ウルム」に似た「正蘇」という乳製品に関する記録が、650年頃の『涅槃経』や『右官史記』 という古文書、奈良の平城京宮遺跡(飛鳥時代)、長屋親王邸跡から発見されています。 蘇の作り方は、6世紀頃に伝来した仏教とともに、中国や朝鮮からの使節や酪農技術を身につけた渡来民によって伝来したものと考えられています。 蘇は、平安時代には不老長寿・強精に効くと考えられていたため、現在のローヤル・ゼリー以上に貴重な食品として貴族階級で独占されていたようです。そのため、皇族や大臣の大餐の儀式兼宴会などには欠かせないものでしたが、武家時代に移るとともに、作られなくなってしまったようです。

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